読書感想文:湊かなえ「花の鎖」

気づけばもう12月も下旬どころか、クリスマス間近です。

この1年は何だかとても早くて、いろいろなことが中途半端で反省しかない1年になりそうです。

そんな中で読書には励んでいたので、少しずつ紹介していこうと思います。

ということで、今回は湊かなえさんの「花の鎖」です。何となく湊かなえさんの本が読みたいなあと本屋でパッと手に取ったのが本作だったので、10年ほど前の作品とか、背景情報は一切なく読み始めました。

お話は、ある町を舞台に、3人の女性のストーリーが順繰りに語られていく作り。のんびり読み進めていたので途中で作品の構造には気づきましたが、着地は予想できなかったので、最後まで楽しく読めました。

何と言ったらいいのか言葉が見つかりませんが、いわゆる湊かなえさんの作品らしく、その点の期待は裏切っていませんね。

人の命の重たさというものがどこか軽んじられている昨今なので、自分の人生や出会ってきた人のことにも思いを馳せるきっかけにもなりました。

ところで本作はドラマ化されているとのことですが、あいにくと未視聴なので、どのように映像化されているのか気になるところです。本作は文字情報だけだからこそ描けるカラクリ構造なので、それを映像で見せるには仕掛けを変えるのか、そもそも見せるポイントそのものを変えるのか。よく“映像化不可能な作品”と言われる小説がありますけれど、この「花の鎖」はそういうクリエイティブな想像も楽しい作品かもしれません。