ハレーション・ゴースト―妖精作戦 Part2

秋と言えば学祭シーズン。ちょっと乗り遅れたかもしれませんが、やっぱり学祭シーズンに読みたい一冊と言えばこの笹本祐一氏の『ハレーション・ゴースト―妖精作戦 Part2』。ちょっと懐かしみたくて読み直しました。私の「学園もの」への永遠の憧憬はこれと『やじきた学園道中記』ですからね...。
さて、この笹本氏の作品ですが、それにしても朝日ソノラマって書店で全く見かけませんね。潰れたかと思いましたよ...(※健在です)。この妖精作戦シリーズ、出た当初(80年代中期)からかなりのベストセラーで、1994年に新装版も出ましたが、今ではかなり入手困難なようです(プレミア価格ついてますし)。
このシリーズは全4作で本作以外はSF+学園ものなんですが、本作だけが本筋から離れた番外編的な展開になっています(ただし、時系列上の繋がりはあり)。で、中身は学園祭直前の騒乱とSF的事件が起きる、という話です。
SFの方はともかくとして、学祭を巡る登場人物たちのドタバタは、はじめて読んだ当時小学生の頃は「あぁ高校生ってこんなに楽しいんだなぁ」と感じ、やがて自分自身が高校生になった時代には、まさにそれを体現し(大学でもほぼ同じノリ)、美しい思い出として本作とともにココロに刻まれています。
ところが、最近その母校から届いた卒業生向けの会報誌を読むと、それを書いている先生自身にも不本意さがあふれているのですが、すっかり学生を管理する体質に変貌してしまった(ならざるをえなかった)母校の姿が読み取れました。
学生自身の行事にかけるパワー自体が落ちたのかもしれませんが、世間は以前よりも物騒になりましたし、ちょっとした事故に対して周りがゴチャゴチャ言う風潮ですし、管理する、というのは仕方がないのかもしれませんが、何とも悲しいものです。
教師(先生ではない)と学生(生徒ではない)って、信頼関係で結ばれているべきで、私が学生だった時代にはまだその雰囲気が残っていたのかな、とふと思います。おおらかさ、とも言うんですかね。高3の1学期にインターハイ予選で敗退して部活引退した直後の夏休みに、後輩の合宿に押し掛けた夜はコーチの先生と当然のように飲んだし、そんなルール違反も信頼関係で成りたっていたな、と今更ながら思うのです。