宮下奈都『スコーレNo.4』

図書館で何となく手に取って読みはじめたら引き込まれてしまった一冊。主人公・麻子のスコーレ(SCOLE/学び、遊び、余暇)を4つの時期に分けて描いているのですが、前半2つと後半2つでかなり異なった展開になっています。まぁ、後半がある種のハッピーエンドに向かっていくのですが、前半の屈折した感じの青春時代、妹の七葉との関係性があってこそ。後半だけで読んでしまうと石田衣良か誰かの恋愛短編集みたいな感じになってしまうのですが(それはそれでよいのですが)、前半の主人公のこころの動きとかは、何かきゅっとさせられる瑞々しさと、モノトーンの世界に光がきらきらと差し込む、みたいな妙な高揚感があります。
それとね、自分が映像撮る人だったら映画にしたいな、と思わせる、映像的な作品でもありました。