10月30日東京公演を観て

去る10月30日にDavid Sylvianの「The World is Everything tour」最終日の東京公演(オーチャードホール)を観に行きました。


今回は自作のリリースを受けての公演ではなく、むしろここまでの歩みに対する“リセット”ということで、1995年のslowfireツアーと意味合い的には近いわけで、ある意味、趣味的な内容になるんじゃないかと思っていました。


3年前のblemishのツアーdavid sylvian / a fire in the forestでは開演ギリギリに駅から走って会場に辿り着いた反省から、今回はかなり時間の余裕を持って会場に行きました。それで感じたのは意外と男性客多い?ということ。いかにも古株なファンの方々以外に若い兄さん方が混じっていて、よい傾向に思いました。


さて、結果から書くと、内容は素晴らしくもあり、物足りなさもあり、でもまた聴きたいと思わせるものでした。
物足りなさについては、多分David本人の体調不良のため(曲の合間にゴホゴホと咳してました)、公演時間が1時間強と短く、アンコールも無かったということ。前日の大阪ではアンコールもがっつり演った、ということで客席の反応が悪いわけでもないので致し方が無いところでしょう。1曲目の「Wonderful World」で幾つか音を外しているところがあったのは体調によるところが大きかったのだろうし、中途半端なものを観るよりはよかった、と今では割り切れています。


ただ、本調子ではない、とはいってもDavidの歌にはたびたび引き込まれました。今回はNine Horsesからの選曲が多かったのですが、このNine Horses、どちらかというと歌が主張しない雰囲気があるのですが、今回のステージでは、サウンドと一体化しつつも、時折、やはりDavid天性の歌が全面に押し出されるのを体感しました。


“振り返り”のツアーらしく、『EVERYTHING & NOTHING』でようやく陽の目をみた「RIDE」や、すっかりツアー定番曲となった「Ghosts」「Jean The Birdman」、そして「World Citizen」〜「I won't be disappointed」と、ソロ作、コラボ作も十分に堪能できました。


今回のバンドは、Steveの生ドラムは相変わらず素晴らしく、「EVERYTHING & NOTHING TOUR 01」参加のKeith Loweのベースとの絡みもよかったです。そして、渡邊琢磨のピアノが隙間を埋める、というかいい味を出していました。「EVERYTHING & NOTHING TOUR 01」のキーボードのMatt Cooperが結構自己主張の強い音だったのに対し、彼のプレイは音を添える、という感じでDavid作品をよく理解している印象でした。
あれこれ思うところはまだまだあるのですが、何はともあれ、このツアーを区切りにして新しいDavidが今後も見られるというのはいい傾向です。


ソロ作もかなり進んでいるという話ですし、合間にコラボや客演も結構音源として世の中に出ているし、ある意味安心して作品ごとの接点を楽しめる気になってきました。


次のツアーまでに自分も少しは成長できるかな、と日々鍛錬の気持ちを取り戻させたそんな1日でした。


終演後のオフも楽しかったです。いい世の中になりましたね。