『orange-オレンジ-』鑑賞してきました。今頃。

さて、公開から2ヶ月以上経っていますが、ロングラン上映されている『orange-オレンジ-』観てきました。
学園モノ大好きなので、ああいう友情物語もいい感じです。ヒットしているのも頷けますね。
ただ、10年後の自分から手紙が届く、というSF(すごくファンタジー)設定はある意味“嘘”なので、その嘘のためにも、なるべくそれ以外のところは嘘なく丁寧に作ってほしかったなぁという気がします。特に脚本。アラが出ているところに意識がいってしまうんですよね。主要キャストの6人があんなに頑張っているのですから。いくつか言わされている感の強いセリフもそれが理由だと思っています。


以下、特に気になったところ。


・4月6日の、担任の先生が点呼後、「呼ばれていないやついないか?」はいらないでしょう。菜穂は手紙に気を取られているし、返事をする描写がないので、呼ばれてないよ?と映画が始まってから5分くらいでいきなり気になってしまいました。


・4時間目になって翔が菜穂から鉛筆と消しゴムを借りる。でも、なぜ4時間目になってから…。1〜3時間目が体育とか音楽とか移動教室でもいいんですよ。でも、4時間目の後、今まではお弁当タイムだったのに、何故この日は掃除なの…??ここは1時間目で、授業後、菜穂か翔が先生に呼ばれたことにすればいいのではないでしょうか。


・菜穂と翔が喧嘩してた(気まずくなってた)とはいえ、あの仲良しグループがクリスマスをスルーってどうかと思うの。。。2年参りの約束をしてるからクリスマスイベントをやらない、のならちょっとでも説明セリフ入れておけばいいのにね。


・東京に住んでる頃の翔が部活の人間関係で悩んでたって言うけど、松本に来てからは(多分サッカー部の中心人物の)須和と友達だからって部活動うまくいき過ぎでしょ…。サッカー上手いから先輩に嫉妬からいじめられてたとかにすれば良かったのにね。あ、でもそれだと転校を勝手に決めるなって怒ることもないのか。・・・やっぱりいろいろ説明不足だろ(笑)


・大晦日の翔のおばあちゃん、意外と元気そうだったよぅ。そもそも肺炎うんぬんのところが、病状そのものではなくてお母さんのことを思い出して凹んだり苛立ってたのなら、もうちょっとそういう説明を入れてくれないと。


他にも細かな(でも本筋とはあんまり関係のない)アラが多いんですよね。映像での説明が不足しているんですよね。これ、役者のせいではないですよ。


それと根本のところで、物語が翔の後悔と死を止めることに終始しているので、キャラクターの人間関係の変化と成長がないのが残念。もちろん、高校生なんてのはたとえば朝と晩と寝る前で気持ちが180度ずつ違うなんてことはざら。だから菜穂と翔があれだけのエピソードがあっても距離が縮まりきらないのは(本当は須和との方がお似合いだからなのかもしれないけど)、やっぱりその設定だけを何度も繰り返してたからだし、だから132分の長さになっちゃうんですよね。連続ドラマの総集編的な感じなんですよね。
同じこと繰り返してたといえば、同じ山粼賢人さんの『ヒロイン失格』もそうですけど、あっちはその繰り返しのたびに踏み込んだり揺り戻しがあったから良かったんですけどね。


と文句をたくさん書きましたが、それでもああいう高校生らしい人間関係とかに感じ入ることが多かったので、全体としては良かったかな。まだ観ていない方はぜひ♪